専任の宅建士とは?雇用・兼任・要件をわかりやすく解説

「不動産屋を始めたいけれど、宅建士は必要?」

「宅建士の資格を持っている人を雇えば大丈夫?」

「社長自身が宅建士なら、そのまま使える?」

不動産業を始めるために宅建業免許を取得する場合、避けて通れないのが**「専任の宅建士」**の問題です。

宅建業者は、事務所ごとに一定数の「専任の宅建士」を置くことが法律上求められています。

ただし、単に「宅建士の資格を持っている人がいる」だけでは足りません。

今回は、これから不動産業を始める方に向けて、

  • 専任の宅建士とは何か
  • 何人必要なのか
  • 宅建士の資格を持っているだけでよいのか
  • 雇用する場合の注意点
  • 他の仕事との兼任はできるのか
  • 社長自身が宅建士になることはできるのか
  • 退職して人数が足りなくなった場合はどうなるのか

について、できるだけわかりやすく解説します。


1.そもそも「専任の宅建士」とは?

宅建業法では、宅建業者は事務所ごとに、一定数の成年者である専任の宅地建物取引士を置かなければならないとされています。

これが、一般にいう「専任の宅建士」です。

宅建業法第31条の3では、宅建業者について、事務所等ごとに必要な人数の専任の宅建士を置くことを定めています。

ここで大切なのは、

「宅建士の資格を持っている」=「専任の宅建士になれる」

ではないということです。

専任の宅建士になるためには、資格だけでなく、実際にその事務所で継続的に勤務し、宅建業務に専ら従事できる状態であることが必要です。

京都府の最新の手引でも、専任の宅建士には「常勤性」と「専任性」の両方が必要とされています。


2.専任の宅建士は何人必要?

ここは宅建業免許を取得するうえで非常に重要です。

原則として、

宅建業に従事する者5人につき1人以上

の専任の宅建士を置く必要があります。

例えば、

宅建業に従事する人数必要な専任の宅建士
1~5人1人以上
6~10人2人以上
11~15人3人以上
16~20人4人以上

という考え方です。

京都府の最新の手引でも、事務所について「業務に従事する者5人に1人以上」とされています。

「従業員5人に1人」ではない点に注意

ここで注意したいのが、

「従業員5人につき1人」ではない

ということです。

基準となるのは、単純な従業員数ではなく、その事務所において宅建業に従事する者の人数です。

宅建業だけを営んでいる会社の場合には、常勤役員や一般管理部門の従業者なども人数に含まれる場合があります。

一方、建設業など他の事業と兼業している会社の場合には、どの程度宅建業に従事しているかなどを考慮して判断されます。

そのため、

「うちは社員が5人だから宅建士1人でいい」

と単純に判断するのは危険です。


3.宅建士の資格を持っているだけではダメ?

ここもよくある勘違いです。

宅建士として業務を行うためには、宅建士試験に合格しただけではなく、原則として都道府県知事の登録を受け、宅建士証の交付を受けている必要があります。

宅建士は、宅地建物取引士資格試験に合格し、登録を受け、宅地建物取引士証の交付を受けた者をいいます。

したがって、

「昔、宅建試験に合格した人がいるから、その人を専任の宅建士にすればいい」

というわけではありません。

現在の登録状況や宅建士証の有効期限、勤務先の登録状況なども確認する必要があります。


4.「雇用」しなければならない?

では、専任の宅建士は必ず正社員として雇わなければならないのでしょうか?

必ずしも「正社員でなければならない」という考え方ではありません。

京都府の最新の手引では、専任の宅建士の「常勤性」について、宅建士と宅建業者との間に雇用契約等(派遣契約を含む。)の継続的な関係があり、事務所の業務時間にその事務所の業務に従事することが必要とされています。

つまり、重要なのは、

名前だけ借りるのではなく、実際にその事務所で継続的に勤務できる状態にあるか

ということです。

「宅建士の資格を持っている知人に名前だけ借りる」

といった方法は認められるものではありません。


5.専任の宅建士は「常勤」であることが重要

専任の宅建士には、常勤性が求められます。

京都府では、専任の宅建士について、

  • その事務所に常時勤務すること
  • 継続的な雇用関係等があること
  • 事務所の業務時間にその事務所の業務に従事すること

などが求められています。

例えば、

「普段は大阪の会社で働いていて、週に1回だけ京都の不動産会社に来る」

というようなケースでは、専任性が問題になる可能性があります。

京都府の手引では、別企業の従業員や公務員である場合など、常勤性が認められない例も示されています。


6.他の仕事との兼任はできる?

これも非常に質問の多いところです。

結論からいうと、

兼任が絶対にできないわけではありません。

ただし、専任の宅建士として必要な「常勤性」と「専任性」に支障がないことが重要です。

京都府の最新の手引では、専任の宅建士が宅建業以外の業務も行う場合、その人が専ら宅建業に従事できる状態かどうかを個別に判断するとされています。

例えば、

ケース①

宅建会社の専任の宅建士が、同じ会社で別の業務も担当している。

→ 宅建業に専ら従事できる状態かどうかによって判断されます。

ケース②

専任の宅建士が、別会社の役員を兼任している。

→ その役員としての仕事が非常勤で、専任の宅建士としての業務に支障がない場合など、認められるケースがあります。

ケース③

専任の宅建士が、別の宅建業者の従業員も兼ねる。

→ 原則として認められません。

京都府の手引では、勤務日の重複がなくても、専任の宅建士が他の宅建業者の従業員等を兼務することは原則として認められないと明記されています。

つまり、

「月曜日はこちらの不動産会社、火曜日は別の不動産会社」

というような形で、複数の宅建業者の専任の宅建士を掛け持ちすることは、原則としてできないと考えておいた方がよいでしょう。


7.社長自身が宅建士ならどうなる?

「会社を設立して不動産屋を始める予定です。社長の自分が宅建士です。」

というケースもよくあります。

この場合、社長自身が専任の宅建士になることは可能です。

宅建業法では、宅建業者自身、法人の場合にはその役員が宅建士であり、その者が自ら主として業務に従事する事務所については、専任の宅建士とみなす仕組みがあります。

ただし、

「社長だから自動的に専任の宅建士になれる」

という意味ではありません。

その事務所に常勤し、宅建業務に専ら従事できることなどが重要です。

例えば社長が別の会社の仕事をメインにしていて、不動産会社にはほとんど出勤しないという場合には、別の専任の宅建士を用意する必要が生じる可能性があります。


8.専任の宅建士が退職したらどうなる?

会社に専任の宅建士が1人しかいない場合、その人が退職すると大きな問題になります。

例えば、

「宅建業に従事する者が4人なので、専任の宅建士は1人で足りている」

という会社があったとします。

この専任の宅建士が退職すると、専任の宅建士がゼロになってしまいます。

宅建業法では、必要な人数を下回った場合、2週間以内に必要な措置を取ることが求められています。京都府の手引でも、退職等によって人数が不足した場合には、新たに雇用するなど2週間以内に必要な措置を取る必要があるとされています。

そのため、

「宅建士が辞めてから探せばいい」

ではなく、退職が決まった段階で早めに後任を検討することが大切です。


9.オンライン・テレワークはできる?

最近では、働き方も大きく変わっています。

京都府の最新の手引では、ITを活用して専任の宅建士が事務所以外で勤務する場合についても、適切な体制を確保することで対応できる考え方が示されています。

例えば、

  • 事務所への出勤・退勤を確認できる体制
  • 事務所との情報共有システム
  • 来客者と双方向で会話できる設備
  • 資料を提示できるモニター等
  • 事務所にいるスタッフによるフォロー体制

などが挙げられています。

ただし、

「テレワークならどこで仕事をしても問題ない」

ということではありません。

専任の宅建士として、事務所で勤務している場合と比べて遜色なく業務を行える体制が必要になります。


10.宅建業を始めるなら「宅建士の確保」は早めに

不動産業を始める場合、

  1. 宅建業免許が必要か確認
  2. 事務所を決める
  3. 専任の宅建士を確保する
  4. 必要な人数を確認
  5. 免許申請の準備をする

というように、いくつかの準備が必要になります。

特に、

「事務所は決まったけれど、専任の宅建士がいない」

となると、免許申請をスムーズに進められません。

また、専任の宅建士については、単純に宅建士証を持っている人を見つければ終わりというものではありません。

勤務状況や他の仕事との兼任、現在の登録状況なども確認する必要があります。


まとめ|宅建業免許は「事務所」と「宅建士」の両方を準備する

今回のポイントをまとめます。

専任の宅建士について覚えておきたいこと

  • 宅建業者は事務所ごとに専任の宅建士を置く必要がある
  • 原則として業務に従事する者5人につき1人以上が必要
  • 宅建試験に合格しただけではなく、宅建士としての登録・宅建士証などの確認が必要
  • 専任の宅建士には「常勤性」と「専任性」が必要
  • 名前だけを借りるような形では認められない
  • 他の宅建業者との兼任は原則として認められない
  • 他の仕事との兼業は、専任性などに支障がないか個別に判断される
  • 専任の宅建士が不足した場合は、原則2週間以内に必要な措置が必要
  • ITを活用した勤務についても、適切な勤務体制が必要

宅建業免許の取得では、

「どんな事務所を用意するか」

だけでなく、

「誰を専任の宅建士として配置するか」

も非常に重要です。

不動産業をこれから始める方は、事務所を契約する前、会社を設立する前の段階から、宅建士の確保についても一緒に考えておくと安心です。


京都で不動産業を始める方へ|宅建業免許の準備もお早めに

京都府内で不動産業を始める場合、京都府内のみに事務所を設置するのであれば、原則として京都府知事免許が必要になります。

京都府では、宅建業免許の申請について、事務所の要件や専任の宅建士の確保などが免許取得の重要なポイントとなっています。

「宅建業を始めたいけれど、何から準備すればいいかわからない」

「専任の宅建士を誰にすればいい?」

「今の事務所で免許が取れる?」

「法人設立と宅建業免許をまとめて準備したい」

といった場合には、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

京都市西京区・京都市内を中心に、地域密着で不動産業の開業・宅建業免許申請をサポートしています。

事務所要件の確認から、専任の宅建士の確認、免許申請まで、不動産業の開業準備を一つずつ整理していきます

齊藤行政書士事務所

宅建業免許申請・各種許認可をサポート

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